費用を抑えて刑事告訴したい方へ:行政書士活用のススメ
犯罪被害に遭った際、捜査機関がすぐに捜査を開始してくれれば、被害者の方は安心できるでしょう。しかし、場合によっては、捜査機関が犯罪事実を把握していないこともあります。
このような時、捜査機関に対して被害事実を申告するための手続きが被害届、または刑事告訴です。

被害届とは、警察や検察などの捜査機関に犯罪被害の事実を申告することです。一方で、刑事告訴は、犯罪被害事実の申告に加えて、犯人の処罰を求める意思表示も含まれます。このように、被害届と刑事告訴の主な違いは、犯人の刑事処罰を求める意思表示が含まれるかどうかという点です。
また、刑事告訴が受理されると、捜査機関には捜査義務が生じますが、被害届の場合は捜査義務が生じません。刑事告訴が受理されると捜査義務が発生するため、一般的に、刑事告訴の受理はハードルが高いとされています。
特に刑事告訴は専門的な知識が必要で、告訴状の作成には法的な整理が求められます。
刑事告訴も被害届も、専門家である弁護士または行政書士に依頼することができます。ただし、どちらに依頼すべきかは、2つの観点から慎重に検討する必要があります。ここでは、両者の違い(メリット・デメリット)についてご紹介します。行政書士に依頼する際の参考にしてください。
弁護士は、弁護士法に基づいて法律問題全般にわたり代理人として活動できます。刑事告訴に関して言えば、以下の活動が主なものになります。
・告訴状の作成及び提出
・捜査機関との折衝
・示談交渉
・捜査や裁判など刑事事件手続全般に関するサポート
このように、弁護士は告訴状の作成から提出、受理に至るまで、捜査機関に強く働きかけることができます。その後の手続きでも、捜査の結果、被疑者(犯人)が逮捕された場合、示談を持ちかけられることもあり、その対応も一貫して依頼できます。
一方、行政書士は、「官公署に提出する書類、その他権利義務または事実証明に関する書類」の作成代理を主な業務とします。そのため、刑事告訴でできることは以下の通りです。
・告訴状の作成
・使者としての告訴状提出
・証拠の整理
弁護士とは異なり、行政書士は告訴状が受理されるよう捜査機関に強く働きかけることはできません。あくまで「使者」としての立場なので、警察から「正式受理は後日」と言われた場合、いったん引き下がり、後日再度使者として提出に赴くしかありません。
ちなみに、刑事告訴はスムーズに受理されるイメージがあるかもしれません。しかし、実際は受理までに相当な労力が必要となります(ハードルが高いと言われるのはこのためです。)。それは弁護士であろうと行政書士であろうと違いはありません。
弁護士に依頼する場合、依頼範囲にもよりますが、着手金数十万円、受理された場合や起訴された場合、または示談が成立した場合などに報酬金が数十万円かかり、合計100万円近く費用がかかることもあります。
一方、行政書士の場合は、業務範囲でも説明したように、サポートできるのは作成及び使者としての提出代行までです。作成のみであれば数万円に設定している事務所が多く、提出代行まで任せる場合でも高くても数十万円程度でしょう。
弁護士、行政書士いずれも、事務所によって費用体系や事案の難易度によって変動がありますので、詳細は各事務所にお問い合わせください。なお、当事務所では、告訴状の作成のみであれば、事案の難易度により変動しますが、最低3万円(税抜)から承っております。
ここまで、刑事告訴における弁護士との違いを、業務範囲と費用の面からお伝えしました。どちらの専門家に依頼するかは、被害者の方が何を最も重視するかを基準に考えると良いでしょう。その上で、行政書士に依頼するケースとして考えられるのは次の通りです。
・費用を可能な限り抑えたい。
・事実関係が明確で、証拠が十分に揃っている。
行政書士は、その業務範囲の都合上、告訴状を作成した時点で、または被害者がそのまま提出できる状態にした時点で、基本的に業務は終了となります。
ただし、実際に刑事告訴を専門にする弁護士の元で経験していることなので言えますが、刑事告訴は受理までが本当に大変な手続きです。捜査機関は、受理すると捜査義務が生じる以上、その捜査に人員を割けなければならず、マンパワーの限界があるためです。もちろん、費用を抑えたいのであれば行政書士に依頼するという選択肢になるでしょう。
当事務所の費用体系は、告訴状の作成・証拠の整理までで、事案の難易度により変動しますが、最低3万円(税抜)です。この他、別途要相談ですが、告訴状などの書類引き渡し後は、ご依頼者様自身で提出していただき、警察から修正や訂正を求められた際には、1回当たり3000円(税抜)で3回までアフターフォローとして修正や訂正を当事務所ですることもできますので、刑事告訴でお悩みの方はお気軽にご相談ください。